本記事では、YouTubeショートについて解説いたします。
ショート動画といえば、TikTokやInstagramリール、LINE VOOMなど、各広告プラットフォームで次々と誕生している縦長フォーマットです。特に最近ではショート動画の利用率が50%を越え、生活に定着してきたと言われています。無意識にショート動画を見ている経験は皆さんにもあるのではないでしょうか?
今後、ますますフォーマットとして伸びてくると予想されるショート動画について、使いこなすヒントをご紹介します。
目次
ショート動画の利用状況
出典:株式会社スターミュージック・エンタテインメント | ショート動画白書 vol.4
調査内容:本調査は、15歳〜69歳の日本人男女1750人を対象に、ショート動画の主要プラットフォームであるTikTok、YouTube ショート、Instagramリール、LINE VOOMを取り上げ、それらのユーザー属性や使用シーン、イメージの違いなどの調査
調査結果によれば、ショート動画の利用率は55.1%と、2022年から比較すると、約12ポイント伸びており、消費者へさらに浸透している様子が伺えます。
出典:株式会社スターミュージック・エンタテインメント | ショート動画白書 vol.4
さらにショート動画は、目的を持って視聴するユーザーよりも、特に目的なく無意識でショート動画を視聴しているユーザーが多いことも明らかになり、日々の生活の中に定着しつつあります。
出典:株式会社スターミュージック・エンタテインメント | ショート動画白書 vol.4
またショート動画は、単に暇つぶしで楽しい情報を得るためだけに活用されるだけでなく、実際に自分自身の購買行動に影響を感じている割合が62.9%まで上昇しています。「ショート動画売れ」はさらに顕著なものになりそうです。
各広告プラットフォーム別-ショート動画の特徴
ここでは、各広告プラットフォーム別のショート動画の特徴についてまとめます。
少し前までは、TikTokの動画やInstagramリールがそのままYouTubeショートで活用されるケースも多々ありましたが、やはり各プラットフォーム別に徐々に特徴がでてきています。
①TikTok
若年層だけでなく、最近は幅広い年代が使用。 他プラットフォームと比べてコンテンツ量が多く、ジャンルも幅広い。 おすすめフィードのレコメンドシステムが非常に優秀。世界で10億MAU、累計35 億DLを突破。バズりやすいショートムービープ ラットフォーム。
②YouTubeショート
10代から50代まで幅広い層が視聴する日本最大 の動画プラットフォーム。2022年には世界で1日あたり400億再生 されており、これは2021年の4倍の再生数。
2023 年 11 月に調査会社 Material が実施した調査によると、ショート動画を扱う動画配信サービスの中で、13 歳 〜 54 歳の 1 カ月あたりの利用率は YouTube ショート が最も高く(62%)、他のサービスを上回り 1 位です。13 歳から 24 歳の若年層に限定しても同じく利用率は 1 位で、74% が YouTube ショートを利用していると言われています。
出典:Google / Material、Power of YouTube Shorts
調査内容:本調査は、2023年11月7日~2023年11月22日の期間で実施、日本の3,951名が調査対象、Z世代(13~24歳)の回答者は574名
③Instagramリール
10代~20代の女性に強いプラットフォーム。 美しい映像やオシャレなコンテンツが多い。 フォローしたユーザーをアルゴリズムが解析。 映えに強くショッピングなどの独自の機能も多い。
④LINE VOOM
日本国内で若年層を中心に拡大しており、LINE の通常投稿から派生したコンテンツが多い。 ユーザー数が日本国内で最大規模のSNSプラッ トフォームから生まれたショート動画サービスで、現在急速に成長中。 これら4つのプラットフォームの中では一番新しいサービス。
⑤まとめ
YouTubeショートを使いこなす4つのヒント
先ほどの調査結果にもあったように、ショート動画をきっかけとした購買行動も確実に生まれてきています。エンタメコンテンツと相性が良さそうなジャンルの商品や低価格の消費財などはもちろんのこと、それ以外にも軽自動車、医療保険、不動産といった高価格帯で検討期間が長い商材の購入も生まれています。
10/23(水)にマーケターのためのYouTubeの祭典「Brandcast」が開催されました。その中で紹介されていた、YouTubeショートを使いこなす4つのヒントに沿って、私なりに日々動画制作に関わる中で解釈した「刺さるクリエイティブとは何か」を簡単に説明します。
①指を思わず止めてしまう「0秒アテンション」
・0秒目に、縦長用のレイアウトでインパクトのある絵を映す
・ボディーコピーのような長い言葉は、短く切って次々と表示する
・音楽は動画のトーンを決定づける上でより一層重要に、テンポ感があり、ストーリー展開を補完するものを選択
②広告色を抑えて自然に楽しめるような「オーガニック感」
・ブランドや商品を出す際は、コンテンツとマッチした自然な流れを
・カットやテロップを細かく切り替え、繰り返しの視聴を促す
③商材と相性がよい「クリエイター起用」
・ブランドとの相性がよく、コアなファンがいるクリエイターを起用
・クリエイターの良さも同時に引き出す表現を心がける
・ユーザーに直接語りかける方法や、タレントを前面に出して対面させる方法が有効
④その後に繋げる「行動クリエイション」
・商品購入やLPへの遷移などその後の行動を促す
スキップしやすい環境のショート動画では、こうした工夫によって指を止めてもらい、短い時間で人の気持ちを動かす必要があります。「楽しんでもらい、結果として効果につなげる」というスタンスでの広告クリエイティブの制作が大切です。
最近のYouTubeの事例
YouTube を活用してビジネス目標を達成した広告を表彰するアワード「YouTube Works Awards Japan」は、2024 年で 4 回目の開催となりました。今年はショート動画の普及を受けて新設した「Best Shorts Ads 部門」など全 7 部門で審査をしており、その部門で受賞したサントリーホールディングス株式会社の成功事例をご紹介します。
▼実際の受賞動画(0:24 / 1:34)
YOUTUBE WORKS AWARDS JAPAN 2024 | Best Shords Ads 部門:ガチ中華クリエイターCM(サントリーホールディングス株式会社)
「サントリー烏龍茶」は発売から 40 年以上が経っており、Z 世代にとって古めかしい飲み物になっていることを課題と捉えていました。「おなかの脂肪を減らす」という烏龍茶の機能を現在のトレンドとつなげて訴求することで、若年層にも商品を買ってもらうきっかけ作りが必要でした。
そこで活用したのが YouTube ショートです。特に Z 世代に浸透している媒体であったことが選定理由のようです。
ショート動画を中心に、本格的な中華料理をダイナミックに作りあげる「ガチ中華」動画がネットミーム化し、人気を集めていたことを受け、これをクリエイティブに取り入れました。
「いかに演出感をなくし本場の動画に近づけるか」を大切にしたかったため、ガチ中華動画を制作していた 4 人のクリエイターから既存の素材を提供してもらい、キャッチコピーや商品写真、音楽を足すだけというシンプルな構成で、縦型のショート動画を制作。あえて企業ロゴや商品カットが動画の冒頭に登場しない構成にすることで、普段ショート動画を流し見するように広告を見てもらえるように工夫しました。
企業ロゴを最初に打ち出すことは、これまで動画制作のセオリーとも言われることが多かったですが、ショート動画の特徴に沿って、今回は敢えて掲載をしなかった点が今回のショート動画制作の特徴と言えるでしょう。
サントリーの烏龍茶ブランドでは縦型クリエイティブに特化したのは初めての試みでしたが、リーチ数は 1,200 万以上、視聴完了数は 310 万回以上といずれも KPI を達成。特に TrueView インストリーム広告の視聴完了率は 70% と高く、SNS 上では「天才」「好き」など広告に対する好意的な意見に加え、購買意向につながるようなコメントも多数寄せられました。
審査では「YouTube ショートの特性と広告効果を両立させたシンボリックな事例」として、特に「言葉がなくても伝わる動画」である点が高評価を集めたようです。
出典:YouTube Works Awards Japan 2024 受賞作
まとめ
今回はショート動画の市況からYouTubeショートの特徴や作り方についてご紹介しました。
面白いネタを消費するという視聴環境から、徐々に、新しくためになる発見に繋がるプラットフォームとして成長を遂げ、今後ますますの伸びが期待されます。
まだ取り組んだことがない人は、一度検討してみてください。