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インストリーム広告の概要・定義
インストリーム広告とは、YouTubeやGoogle動画パートナー上のウェブサイトやアプリで、他の動画コンテンツの再生前、再生中、または再生後に表示される動画広告のことです。ユーザーが5秒後にスキップできるスキップ可能なインストリーム広告と、最後まで視聴が必要なスキップ不可のインストリーム広告の2種類があります。これらの広告は、視聴者に対して商品やサービスのメッセージを効果的に伝える手段として利用されます。
スキップ不可のインストリーム広告
スキップ不可のインストリーム広告は、YouTube動画の前後や途中に流れる15秒以内のスキップできない広告です。自動再生され、視聴者に確実にメッセージを届けたいときに使われます。課金形態としては、広告が1,000回表示されるごとに支払う金額である、目標インプレッション単価となります。
スキップ可能なインストリーム広告
スキップ可能なインストリーム広告は、YouTube動画の前後や途中に流れ、5秒後にスキップできる動画広告です。複数デバイスに対応し、新規ユーザーへのリーチやコンバージョン促進に適しており、広告の最後まで視聴されたときなどに課金されます。課金形態は複数あり、視聴単価や目標インプレッション単価が主ですが、キャンペーンの目的によっては、クリック課金の場合もあります。
図1:スキップ可能と不可の違いまとめ
項目 | スキップ可能 | スキップ不可 |
再生時間 | 5秒後にスキップ可能(推奨30秒以内) | 最大15秒(スキップ不可) |
視聴の自由度 | ユーザーがスキップを選べる | 最後まで視聴が必要 |
目的 | 興味ある人に深く訴求、効果測定向き | 確実にブランドを印象づけたい |
課金方式 | CPV(視聴単価)またはCPCなど | tCPM(インプレッション単価) |
追加機能 | 行動を促すボタン、商品フィードなどとの連携も可 | 主に視聴のみ |
インストリーム広告のメリット
インストリーム広告のメリットはバンパー広告やアウトストリーム広告、ショート動画と比較すると大きく4つあります。
- ストーリー性・情報量に最も優れた動画広告
- スキップ可/不可を選べて目的に応じて最適化可能
- 課金形式が柔軟(CPV、tCPM、CPCなど)
- 購入・登録などコンバージョンを狙う広告に最適
図2:インストリーム広告とその他フォーマットとの違いまとめ
項目 | インストリーム広告(スキップ可/不可) | バンパー広告 | アウトストリーム広告 | Shorts広告(ショート動画広告) |
長さ | 最大15秒(不可)~30秒以上(可) | 6秒固定 | 通常15秒前後(任意) | 6秒~60秒(縦型) |
スキップ | 可/不可を選べる | スキップ不可 | スキップ不可(ミュート再生が多い) | スキップ不可(通常自動再生) |
配信先 | YouTube / 動画パートナー | YouTube / 動画パートナー | YouTube外のアプリ・サイト | YouTube Shorts フィード |
音声 | 有り(自動再生) | 有り | ミュート再生が基本(音声付きも可) | 有り(縦型スマホ視聴に最適) |
主な目的 | 商品訴求・理解促進・CV誘導 | 印象づけ・認知獲得 | 安価な認知拡大 | 若年層への認知・共感獲得 |
表現の幅 | 高い(ストーリー・説明・CTAの設定が可能) | 限定的(6秒という短い尺のため一言訴求) | アプリ面などは主流となるため、中程度(視覚訴求中心) | 縦型ストーリー性重視 |
課金方式 | CPV / tCPM / CPC | tCPM | vCPM(視認可能時に課金) | tCPMまたはCPV |
向いている広告主 | 深く説明・行動促したい | 短期キャンペーン・認知重視 | コスパ重視 | Z世代ターゲット・SNS感覚訴求 |
インストリーム広告は、スキップ可・不可を選べ、長尺でストーリー性のある訴求が可能です。情報量が多く、行動喚起や商品理解を促したい広告に最適です。バンパー広告より表現力が高く、アウトストリームより視聴意欲の高いユーザーに届きやすい点が強みです。Shorts広告に比べ、幅広い年代への対応力があります。
インストリーム広告を運用する前に知っておきたいポイント
直近では、単一フォーマットであるTrueviewインストリームとインフィード広告(CPV)の機能が、VVCへ移管されるアップデートが実装されています。
特に、2025 年 4 月以降、Trueview instream と Infeed 上限CPV の新規キャンペーン作成ができなくなるので注意が必要です。
なので、ここではVVCについて解説していきます。
VVC (Video View Campaign)とは?
2024年11月にローンチされたキャンペーンです。
VVC(Video View Campaign)は、視聴課金型のAI最適化型動画広告プロダクトと呼ばれるもので、
- 視聴数(View数)最大化を目的に、AIが広告効果を予測・自動最適化
- 配信面をインストリーム/ショート/インフィードから自由に選択可能
- マルチフォーマット対応で、配信効率が高い(配信面を限定してもConsideration Liftに効果あり)
※Consideration liftとは:あなたのブランドや商品が「検討されるようになったかどうか」を測る指標です。
具体的には、広告を見た人と見ていない人を比較して、
「そのブランドを使ってみたい」「調べてみようと思った」などの行動の変化があったかを測定します。
- 視聴最適化指標は「視聴率」ではなく「視聴数」
- AI最適化により、視聴数+40%、CPV▲30%、比較検討リフト+40%などの実績あり
このように、VVCは今後の主流となっていくことが予測されます。効果と運用効率を両立したいなら、VVCの活用がおすすめなので、移行をおすすめしています。
図3:これまでのインストリーム広告とVVCの違いまとめ
TrueViewインストリーム | キャンペーン名 | VVC |
視聴課金(完全視聴 or 30秒再生) | 課金 | 視聴課金(完全視聴 or 30秒再生) |
上限視聴単価 | 入札戦略 | 目標視聴単価 |
インストリーム面 | 配信面 | 3つの面より任意で選択 |
視聴率 | 最適化 | 視聴数 |
ここからは、インストリーム広告を配信するための設定方法をお伝えします。
インストリーム広告の設定・運用手順
キャンペーン作成の具体的なフロー
キャンペーンの設定では主に、予算や期間、入札戦略、YouTubeの中でも、どのフォーマットを活用するかを決定します。
キャンペーンの目的を選択します。
多くの場合、ブランド認知度と比較検討になるのではないでしょうか。
何を選べばいいか分からない場合は「目標を指定せずにキャンペーンを作成する」を選択しましょう。
ここで仮に選択を変えても、最終的に配信できる方法に違いはありませんので、安心してください。
YouTubeを配信したいので、「動画」を選択しましょう。
配信の目的に沿って、キャンペーンのサブタイプを選択します。
インストリーム広告を活用する場合は、「動画再生回数」「動画のリーチ」のサブタイプを2つ選ぶことが可能です。ただし、「動画再生回数」を選択した場合はスキップ可能なインストリーム、「動画のリーチ」を選択した場合は、スキップ不可のインストリーム広告となります。
特に「動画再生回数」を選択した場合、
直近のYouTube広告の考え方として、複数のいろんなフォーマットを使うことが推奨されているため、複数フォーマットが選択肢になっている場合が多いです。
インストリーム広告のみに絞る場合はチェックボックスで「スキップ可能なインストリーム広告」を選択してください。
ここからは予算の設定です。メニューごとの手順に変わりはありません。
またネットワークの箇所にて、Googleパートナーにチェックを入れたままにすると、YouTube以外にも広告表示がなされることとなります。
YouTubeにだけ配信する予定だったのに…など、事故につながる原因となりますので要注意です。
インストリーム広告の今後の展望とまとめ
2024年のビデオ(動画)広告費は前年比123%の8439億円で、初めてディスプレイ広告を上回りました。
この成長は「インストリーム広告」「アウトストリーム広告」の両方がけん引しています。
インストリーム広告は、今後もテレビ・動画配信サービスとの連携を軸に拡大が見込まれる重要フォーマットで、アウトストリーム広告と市場を二分する形で、視聴意図のあるリーチメディアとしての地位を強化していくと予測されます。
特に今後はコネクテッドTVを活かす大画面戦略が取られることも予測されるので、インストリーム広告の動きには目が離せません。